【論理的思考】演繹法と帰納法を使った論理展開【簡単解説】
論理的思考を学習する上で基礎となるのが、「演繹法」と「帰納法」です。
今回は、この二つを使った論理展開について、事例等も交えながら分かりやすく紹介します。
もくじ(CONTENTS)
コミュニケーションは論理展開が大切
例えば、ディスカッション等の場で
あいつの言ってること、よく理解できないな…
私の話、分かってもらえたかな?
この様な問題が発生するのは、多くの場合、会話の論理展開が上手くいっていないことが原因です。
論理展開とは「メッセージの道筋」
論理展開とは、メッセージを伝える上での「道筋」のことです。
これがおかしいと、メッセージの「受け手」は理解に苦しみます。
論理展開は、あらゆるコミュニケーションの場で行われています。
この論理展開の良し悪しは、結果的に「成果の良し悪し」に繋がります。
だからこそ「論理展開の方法」について学ぶことは大変重要です。
演繹法と帰納法
- 演繹法…法則から色々な結論を導き出す方法。
- 帰納法…色々な事実や結果から法則を見つける方法。
論理展開の方法には、演繹法を使った論理展開と帰納法を使った論理展開の2つのパターンがあります。
演繹法を使った論理展開
演繹的な論理展開は、通常、いわゆる三段論法の形で表現されます。
これは、まず事実(前提)があって、そこから解釈を通じて結論が導かれる論証形式です。
演繹的な論理展開は以下の三つの要素があります。
- 世の中に存在する事実(ルール)
- その事実に関連する状況(観察事項)
- 前記の2つの情報が意味すること
そしてこの三つの要素を使って、次の順序で論理を展開します。
- まず、世の中に実在する事実/前提(ルール)を述べる
- その事実に関連する状況(観察事項)を述べる
- 前記二つの情報が意味することを解釈し述べる(結論)
つまり、観察事項をルールと照らし合わせて、観察事項からルールにコメントし、「それ故に…」という言葉で結論を導きます。
演繹的論理展開の具体例
演繹的論理展開の具体例をひとつ紹介しましょう。
- 男性は出産することができない。
- 大河一滴は「男性」である。
- 故に大河一滴は子供を産めない(結論)
演繹法の留意点
このように演繹法は、理由付けのステップが含まれ、非常に分かりやすい方法です。
しかし、次の様な留意点があります。
論理展開のプロセスが正しくても、使われる事実(前提)が正しくなければ結論も正しくないと言うことです。
帰納法を使った論理展開
帰納的な論理展開とは、複数の観察事実や意見の類似性から結論を導く方法です。
帰納法は、自動的に結論が出る演繹法とは違い、「観察された情報から導ける結論を考え出す」という形式になります。
すなわち、結論は「…だろう」「…のようだ」という推測の形になることが多くなります。
帰納的論理展開の具体例
帰納的論理展開の具体例をひとつ紹介しましょう。
- WEBカメラが市場で品薄状態である
- ヘッドセットが市場で品薄状態である
- (結論)コロナのせいで、テレワークのニーズが高まっている(推測)
帰納法の留意点
帰納法では、複数の観察された事実や意見から共通するものを見つけ、結論を導きます。そのため、その結論は推測の域をでません。
「おそらく…だろう」と言うことは、100%正しい結論であると言い切れないのです。推測には個人的な判断や解釈が介入するからです。
そのため、人によって導かれる結論が違う場合があります。
上記の具体例では、私は「コロナのせいで、テレワークのニーズが高まっている」としましたが、別の人は「コロナのせいで、オンライン飲み会のニーズが高まっている」と結論づけるかもしれないのです。
実際の論理展開は…
現実には、演繹法と帰納法どちらかではなく、両方が絡む論理展開によって、説得力のある提案や説明がされることも多々あります。
現実のコミュニケーションの場では…
友人・知人との日常会話や雑談の場では、「論理展開」を意識せずに話しているケースがほとんどです。
むしろ、日常会話の場で、あまり論理展開を意識しすぎると、人間関係がスムーズにいかない可能性が高いと感じています。
例えば…
高橋課長、今日は機嫌が悪そうだわ…
どうしてそう思うんだい?何か機嫌が悪くなる理由でも知ってるのかい?
理由はわからないけど…なんとなくそう思うの…
こんな感じで会話が進むことも多いでしょう。
ここでひとつ皆さんに質問します💖
- 上記の会話に続く佐藤君の返答ですが、以下のAとBのどちらの回答に好印象を持ちますか
-
A「そうだよね…田中さんの勘けっこう当たるからねえ…」
B「理由を述べて、理路整然と話してくれなきゃわからないよ…」
TPOをふまえ「論理的」になろう!
ちなみに私の場合は「A」です。
その理由は、Bの場合、田中さんから「理屈っぽいと思われて、嫌われてしまうかもしれない」と考えたからです。
脳内にある二つの思考モード
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン先生は、人間には2つの思考モードがあると唱えています。
<システム1:速い思考>
直感や感情のように自動的に発動する思考。
<システム2:遅い思考>
意識的に努力しないと起動しない論理的思考。
普段の生活は「システム1」
私の場合、日常生活のほとんどは、システム1が作動しています。家族や知人との会話の中で、システム2が発動することはほとんどありません。実際システム2を発動させるのは、プレゼンや学習の時ぐらいのものです。
なぜなら、システム2は、多くのエネルギーを必要とするからです。
必死になってシステム2を働かせてこの原稿を書きました。しかし正直、疲れました。
普段「システム1」中心で暮らしていても何も問題は感じません。
いざという時の「システム2」
ただ、常にシステム1だけでよいと言う訳ではありません。
ビジネス等で成果を上げるためにはシステム2(論理的思考)も必要です。
だからこそ、論理的思考法の基本となる「演繹法」と「帰納法」そして論理展開の方法について、今回紹介しました。
まとめ
- 論理展開の基本として「演繹的論理展開」と「帰納的論理展開」がある
- 「演繹法」は、法則から結論を導く
- 「帰納法」は、観察から結論を導く
- 普段は、論理的なコミュニケーションをする必要はない
- しかし、成果を上げるために、論理展開が必要な時もある
- だから、論理展開を学習することは大切である
<もっと学んでみたい方へ…参考文献>
それでは、今回も最後まで御覧頂き、ありがとうございました💖
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