英語で百人一首 第三首「あしびきの…」柿本人麻呂

日本人のこころ「小倉百人一首」

藤原定家卿が編纂した「小倉百人一首」。

その中から毎回一首、ピーター・マクミラン先生の「英訳」も交えて紹介・解説します。

今回は和歌番号第3番「柿本人麻呂」の一句です。

第三首「柿本人麻呂」

あしびきの 

山鳥の尾の 

しだり尾の 

ながながし夜を

ひとりかも寝む

小倉百人一首:第三首「柿本人麻呂」より 

ピーター・マクミラン先生の英訳

The long tail of the copper peasant trails,

drags on and on

like this long night alone

in the lonely mountains,

longing for my love.

「WHACK A WAKA 百人イングリッシュ」(ピーター・マクミランより)

第三首:現代語訳

夜はおすとめすが、谷を隔ててはなればなれに寝るという山鳥…。

その長く垂れ下がった尾のように、長い夜をこの私もまた、あなたと離れて、ひとり淋しく寝るのだろうか。

私は片時も、あなたと離れずにいたいと思うのに…

歌人「柿本人麻呂」(生没年不詳)

持統・文武の両天皇に伝えた宮廷歌人。しかしその一生は謎に包まれています。

「万葉集」を代表する歌人で、後世、山辺赤人と共に「歌聖」と称えられています。

天皇をたたえる歌やすぐれた挽歌、相聞歌などを多く残しています。

※挽歌…死んだ人をかなしむ歌

※相聞歌…たがいにやりとりをする歌で、恋の歌が多い。

雑記・感想

歌人「柿本人麻呂」の生涯とその所縁の地をネットで調べていると…様々な諸説にふれることができました。

謎多き人麻呂の生涯

写真引用:美郷町観光協会より

百人一首に掲載の本歌も、実際は人麻呂の作ではないという説もあり、その生涯もいまだ謎に包まれています。

「下級役人として生涯を送り、石見国の湯抱鴨山(現在の島根県・美郷町で没した」というのが有力な説ですが、「人麻呂は高官であったが政争に巻き込まれ、鴨島沖で刑死させられた」(梅原猛「水底の歌-柿本人麻呂論」)という説もあります。

ただ、いずれにせよ、人麻呂は卓越した歌人であったことは、間違いありません。

万葉集には、人麻呂の歌として、長歌19首・短歌75首が掲載されています。

そしてその歌風は、枕詞、序詞、押韻など、様々なレトリック(修辞技法)を駆使しており、これまでの歌人とは一線を画しています。

このようなことから、人麻呂は日本で最初の職業歌人ではないかと言われています。

飛鳥時代の米津玄師といったところでしょうか(笑)

(米津玄師が、現代の柿本人麻呂と呼ぶ方が適切かもしれません)

写真引用:一般社団法人益田市観光協会より

平安後期以降、人麻呂の人気・評価は高まる一方で、和歌の神様として崇められる存在になりました。

人麻呂を祀る神社や祠も各地に建てられています。

島根県益田市にある高津柿本神社は、全国に存在する柿本神社の本社。

毎年9月1日に開催される「八朔祭」や、流鏑馬(やぶさめ)神事は多くの人で賑わいます。

万葉歌人・柿本人麻呂は、学問・安産の神として有名です。

多くの恋の歌を残したことにあやかり、恋愛成就を願う人も多く訪れています。

恋の歌は永遠不滅

恋する人に逢えない淋しさを、雄と雌が離れて眠る山鳥に例えた一首。

現代であれば、恋人同士、多少離れて暮らしていても休みの日を利用して逢いに行けます。

またビデオチャットで相手の顔を見ながらお話することも気軽にできます。

しかし、当時は移動は徒歩か馬、通信手段は、「手紙」しかありません。

そんな昔の人々の暮らしに想いを馳せた時、私は胸が熱くなりました。

そして、人のこころはいつの時代も変わらないと感じています。

それを証拠に、現代のヒット曲も、ほとんどが恋愛ソングです。

古の人々と現代に生きる私たち、生活様式はまるで違います。

しかし人を好きになる気持ち「恋慕の情」は、いつの時代も共通ですね!

本日の最後まで御覧頂き、ありがとうございました💖

<参考>

島根県美郷町に興味がある方は、
美郷町観光協会ホームぺージ
美郷町観光ガイドブック

こちらのページをのぞいてみて下さいね!

当サイトでは、そんな小倉百人一首より毎回一首ずつ「英文訳」「現代語訳」も交えながら紹介しています。

また歌にまつわる「場所」の観光情報等も紹介しています。是非こちらも御覧ください。

WHACK A WAKA 百人イングリッシュ公式サイト

百人一首の英語かるた「百人イングリッシュ」

英語で百人一首 第一歌「秋の田の…」天智天皇

英語で百人一首 第二首「春すぎて…」持統天皇

英語で百人一首 第三首「あしびきの…」柿本人麻呂

英語で百人一首 第四首「田子の浦に…」山部赤人

英語で百人一首 第五首「奥山に…」猿丸太夫

英語で百人一首 第六首「かささぎの…」中納言家持

英語で百人一首 第七首「天の原…」阿倍仲麻呂

英語で百人一首 第八首「わが庵は…」喜撰法師

英語で百人一首 第九首「花の色は…」小野小町

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