【要約】アイデアのつくり方(ジェームス・W・ヤング)

アイデアのつくり方

こんばんは!一滴です。
久しぶりにジェームス・W・ヤングの「アイデアのつくり方」を読み直しました。そこで今回は、本書を「超訳&要約」形式で紹介します。

数あるアイデア発想法書籍の原点

著者:James Webb Young

著者:ジェーム・W・ヤングについて

(1886-1973)アメリカ最大の広告代理店・トムプソン社の常任最高顧問。アメリカ広告代理業協会の会長等を歴任。広告審議会(AC)の設立者で元チェアマン。正に広告業界の生みの親、ドンと言ったところでしょう。

文体・事例は古くても、内容は今も色褪せず!

本書の原著「A Technique for Producing Ideas」は1940年に出版されました。また本書自体も1960年の日本語訳そのままです。そのため、読み辛いとか、古臭いと感じる人も多いかもしれません。しかし本書に記されたアイデア作りの原理・原則は、今も色褪せることはありません。数あるアイデア発想本の原点として、今も多くの人々に読み継がれています。

それでは、本書の内容について、ご紹介していきましょう。

アイデアマンになるには…

ヤングは本書の中で、「アイデア作成は車の製造と同じように一定の過程があり、流れ作業である。その技術を修練することがアイデアマンになる秘訣である」と述べています。そして技術を習得する時に学ぶべきことは、

  • 第一に「原理」
  • 第二に「方法」

であり、特殊な断片的な知識は全く役にたたないと断言しています。

アイデア作りの原理・原則

原理1:アイデアとは何か

ヤングは、「アイデアとは、既存の要素の新しい組合せ以外の何ものではない」と明確に言い切っています。私はこの原理を知った時、衝撃をうけました。アイデアはゼロから生み出す必要はありません。先代の英知を拝借して、組み合わせればよいのです。実際に、私が新ゲームを創作する際も、これまでにある様々なゲームのシステムを組合せたりしています。

原理2:アイデアを生み出す才能とは

ヤングは、「既存の要素を新しい組合せに導く才能は、物事の関連性を見つけ出す才能に依存している」と言います。また関連性を見つけ出すのが得意な人と不得意な人がいるとも言っています。さらに、アイデアのつくり方・公式を公表した理由をこう述べています。

第一は、この公式は、説明すればごく簡単なので、これを聞いたところで実際に信用する人はまず僅かしかいないということ。第二は、説明は簡単至極だが実際にこれを実行するとなると最も困難な種類の知能労働が必要なので、この公式を手に入れたといっても、誰もがこれを使いこなすというわけにはいかないということである。
だからこの公式は、大いに吹聴したからと言って私がくらしをたてている市場にアイデアマンの供給過多が起こるというような実際上の危惧はまずない。

引用:「アイデアのつくり方」

要するに、この本を読んだところで、実際は、ほとんどの人がアイデアマンにはなれませんよと著者自らが宣言しています。
読者に媚びないヤングの姿勢が、私は大好きです。

アイデアを作る方法(5つのステップ)

ヤングは、アイデアのつくり方(方法)を、5つのステップで紹介しています。

  • データを収集する
  • データを咀嚼する
  • データを組み合わせる
  • アイデアの発見
  • アイデアのチェック

ステップ1.データを集めよう!

これは至極単純明快な真理にすぎないと諸君は驚かれるにちがいない。にも関わらず実際にはこの一段階がどんなに無視されているか、これまた驚くばかりである。
この資料を実際に収集する作業はそう生易しいものではない。

引用:「アイデアのつくり方」より

ヤングは、ほとんどの人が、このデータ集めの部分をおざなりにしていると指摘しています。アイデアマンになりたいのなら、ここで手を抜いてはいけません。人一倍、興味を持って様々な知識を集め吸収しましょう。

実際にデータを集める具体的な方法として、紙のカードを使った方法(カード索引法)が紹介されていますが、これはいささか古くさいと感じています。現代人は、今更、紙のカードを使う必要はありません。
私の場合、ネットで情報を収集した場合は、グーグルキープに残すという方法をよく使っています。また野外で面白い情報を見つけた場合は、スマホで写真をとって残しています。ホワイトボード等に書かれた情報は、手書きで板書することはしません。自動で台形補正をしてくれるマイクロソフト「オフィスレンズ」と言うアプリを使って記録しています。

ステップ2:データを噛み砕こう!

集めたデータをあらゆる角度から検討するのが、第二段階です。関連性を探してみる。違いや共通点を見つけ出す。分かりやすい言葉で言い換えてみる…等です。こころの中で検討するのが基本ですが、実際に体験してみるのもよい方法です。

例えば、「くら寿司」と「スシロー」で出される「マグロ」の違いとか、実際に店舗に足を運んでみないとわかりませんよね。また、あそこのホテルの接客サービスが素晴らしいという記事を読んでも、実際に宿泊してみないとピンとこないですよね。

ステップ3:データを組合せよう

私は、データを分類・組み合わせる際、「ロジックツリー」「ビジネスモデルキャンパス」「マインドマップ」…等、様々なフレームワークを使っています。一つの事項について、複数のフレームワークを使うことによって新しい発見があることもあります。

また本書の中では、徹底的にデータを比較・検討・組み合わせた後は、一旦これらを放棄することを進めています。

問題を完全に放棄して、何でもいいから自分の創造力や感情を刺激するものに諸君の心を移すこと。音楽を聴いたり、劇場や映画に出かけたり、詩や探偵小説を読んだりすることである。

第一の段階で、諸君は食料を集めた。第二の段階ではそれを十分咀嚼した。いまや消化過程がはじまったわけである。そのままにしておくこと。ただし胃液の分泌を刺激することである。

引用:「アイデアのつくり方」より

ステップ4:アイデア発見!

アイデアを生み出すことに執着し、1~3のステップを続けていると、突然、明確な形を持ってアイデアのイメージが現れます。「ひらめいた!」「発見した!」の瞬間がやってきます。

ただし、それがいつやってくるのかは、分かりません。私の場合ですが、未解決の問題も沢山抱えているのが正直なところです。しかし「ひらめいた!」の瞬間も沢山経験しています。仕事帰りの電車の中で、地下鉄の路線図をボーッと眺めている時に、ボードゲームのアイデアが浮かんだり…音楽を聴いている時に、イベント企画案が浮かんり…。本当に不思議なものですね。

尚、アイデアが浮かんだ時は、即座にメモに残すことをオススメします。せっかくよいアイデアが浮かんだのに、一晩寝たら忘れてしまったという経験、皆さんはありませんか?

ステップ5:アイデアを改善しよう!

アイデアが浮かんだら、いよいよそのアイデアを形にする番です。実際に行動を起こしてみましょう。行動すれば、さらなる改善点が自然に見えてきます。なぜならば、他人の目にアイデアが晒されるからです。
他人からの批評を参考にして、自らの気づきを糧にして、アイデアを更に改善していきましょう。アイデアが最初から完璧なんてことはありません。少しづつブラッシュアップしていけばよいのです。
また、アイデアを実行した結果、散々な結果に終わることも多いでしょう。しかし、それで諦めてはいけません。失敗は成功のもとなのですから…

しかし、実際はアイデアが浮かんでいるにも関わらず、何も行動しない人が多いのも事実です。ヤングもこう言っています。

多くの良いアイデアが陽の目を見ずに失われていくのはここにおいてである。発明家と同じように、アイデアマンもこの適用段階を通過するのに必要な忍耐や実際性にかけている場合が多々ある。
しかし、アイデアをこのあくせく忙しい世の中で生かしたいのなら、これは絶対にしなければならないことなのである。

引用:「アイデアのつくり方」より

自戒の意味をこめて、「思いついたアイデアは、失敗してもよいから実際にやってみよう!」ですね!

まとめ

今回は、ジェームス・W・ヤングの「アイデアのつくり方」を紹介させて頂きました。80年も前に出版された本ですが、ヤングが提示したアイデアの原則とアイデアを作る方法は、現代においても、その輝きを失いません。
もし、この記事を見て興味をもたれた方は、是非、購入して熟読されることをお勧めします。この本は図書館で借りて読む本ではありません。折を見て何度も読み返すべき一冊です。

なぜならば…よいアイデアが浮かばず、ひとり悶絶している夜に、そっと読み返す本だから…
ページをめくれば、きっとヤングが、「もっと気合を入れて頑張れ!」と励ましてくれるでしょう…

「アイデアのつくり方」(ジェームス・W・ヤング)

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