【楽しく学ぶ心理学】認知バイアス:サンクコスト効果
人は誰でも、ココロにクセを持っています。
自分の心をあなたは知りたくないですか?
今回は、池谷裕二先生の「自分では気づかないココロの盲点」(講談社)より、心理クイズを一問紹介します。
さあ、あなたも問題に挑戦してみて下さい。奇妙なココロの癖が明らかになるでしょう…
もくじ(CONTENTS)
問題:「迷作公開」
問題
前評判の高かった映画のチケットを1500円で買いました。
ところが公開後、映画の評判はさんざんで、あなたのテイストに合わないものだとわかりました。
さて、どちらの行動を取る人が多いでしょうか?
①それでも映画を観に行く
②映画を観に行くのをやめる
解答解説
答え:①それでも映画を観に行く
「払った1500円がもったいない」「元を取らなければ」と①を選ぶ人が多いのではないでしょうか。既に投資した金額を諦めるのは勇気のいることです。なかには「どれほどひどい映画か確かめたい」というもの好きもいるかもしれません。
よく考えれば不思議です。選択肢②は1500円の損で済みますから被害は最小限ですが、選択肢①はすでに失った1500円に加えて、映画鑑賞に費やす時間までもが犠牲になりますから、さらに損失がかさみます。
損失が連鎖する傾向は、教育や習い事、あるいは投資でもよく見られます。
「せっかくここまでやってきたんだから」とこれまでの努力が無駄になることを惜しむあまり、やめるタイミングを逃してしまいがちです。
なかなか別れられない「ズルズルカップル」にも同じ原理が働いているに違いありません。
サンクコスト効果とは
サンクコスト効果とは、過去に費やしたコストに固執し、すでに回収できないコストであるにもかかわらず、さらなる無駄なコストを生み出してしまう心理効果です。日本語では「埋没費用効果」とも呼ばれます。
サンクコストの具体例
①期待していたほど売れない商品に、在庫を抱えたまま販促費を投入し続ける。
②失敗続きのプロジェクトに、時間とお金をかけ続け、撤退のタイミングを逃してしまう。
これらのように、サンクコスト効果は様々な場面で私たちの判断を曇らせ、不合理な行動をとらせてしまう可能性があります。
サンクコスト効果のメカニズム
サンクコスト効果には、主に2つの心理メカニズムが働いています。
①損失回避
人は損失を被ることに対して、利益を得ることよりも心理的な抵抗感を感じる傾向があります。すでに費やしたコストは回収できない「損失」であるため、その損失をさらに拡大することを恐れて、現状維持を選択してしまうのです。
②正当化
過去に費やしたコストを正当化するために、人は様々な理由付けをします。「これまでにかけた時間や労力を無駄にしたくない」「まだ可能性があるはずだ」など、現状を維持する理由を探してしまうのです。
サンクコスト効果への対策
サンクコスト効果に惑わされないためには、以下の点に注意する必要があります。
①サンクコストであることを認識する
過去の投資は回収できないという事実をしっかりと認識する
②未来のコストとメリットを考える
現在の状況を維持した場合と、撤退した場合の未来のコストとメリットを比較検討しましょう。
③客観的な視点を取り入れる
自分自身の判断に固執せず、周囲の意見を参考にすることで、客観的な視点を取り入れることができます。
④損切りを恐れない
損失を確定させることは辛い決断ですが、長期的には損失を拡大させないためにも必要です。
サンクコスト効果は、誰にでも起こり得る心理的なバイアスです。そのメカニズムを理解し、適切な対策を講じることで、合理的な判断を下せるようにしましょう。
まとめ
今回は、「サンクコスト効果」について紹介しました。皆さん自身の中に思い当たる部分はありませんか?私は、結構思い当たる部分もありました。
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