「This War of Mine」高校の推薦図書に!

ポーランドのゲームスタジオ11bit Studiosは、「This War of Mine」が同国の学校公式推薦図書に選ばれたと発表した。

私も同作品のファンで、よく友人に薦めていただけに、嬉しい知らせだ。

今回はこの選出を祝う意味を込めて、改めて同作品を紹介したい。

This War of Mineとは…

「This War of Mine」(ウォーオブマイン)は、戦時下の市民を描いたサバイバルシミュレーションゲーム。

同作品は1992~95年まで続いたユーゴスラビアの「ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争」をモチーフとしている。

プレイヤーは、正義のヒーローでも伝説の勇者でもない。

銃声に怯えながら、破壊された家屋の中で声を潜めて過ごす一市民だ。

絶対的に不足した食料と医薬品…容赦なく襲い掛かる寒さ…そんな極限の状態での中、生き残るための選択に迫られる。

2014年末にPC版がリリースされると、たちまち大きな反響が巻き起きた。そして数々のゲームアワードを受賞。その後、スマホ版もリリースされ、今でも多くの人々に愛されている。

This War of Mineプレイ感想

はじめに、お伝えしたいことがある。それは…

「本作品は、気軽に楽しめるゲームではない」ということ。

「飢え」と戦う…

ゲームが始まって最初に襲い掛かる恐怖は「食料不足」。

この問題を解決するため、プレイヤーは右往左往することになる。
そして…あらゆる手段を講じても、十分な食料は易々と得られない。

生存のため、わずかな食料を分け合い、飢えを凌がなければならない。

「強盗」と戦う…

次に襲ってくる恐怖は「強盗」。

油断をすれば、備蓄した食料や物資が盗まれる。

そのために、眠い目をこすり警戒を行う必要がある。

強盗の侵入を少しでも防ぐため、バリケードを築く必要がある。

「良心」と戦う…

やがて「良心の呵責」と戦う時がくる…

生き延びるためには、最低限の食料・薬品等の物資は必要だ。

平時の様に、スーパーで物資を調達するという訳にはいかない。

瓦礫の中から使えそうな物資を探す必要に迫られる。

しかし、必要な量を確保するのは難しい…

その時、プレイヤーは良心の呵責と戦う必要に迫られる。

「生き延びるためには、盗みを働くしかないのか」と…

「絶望」と戦う…

そして最後は、絶望と戦うことになる…

時間の経過と共に、環境はますます厳しさを増すばかり…

寒さと空腹は、体力を消耗させる…

強盗に対する警戒は、気力を消耗させる…

それだけではない…

助けを求める人々を見捨てる…

生き延びるために人のものを盗む…

これらの行為を選択した代償として…

精神が消耗する…こころが壊れていくのだ。

本ゲームは、この精神の崩壊という要素がゲームシステムとして取り入れられている。

生きるための罪…

ウォーオブマインは単なるエンターテイメント作品ではない。

ひと言でいうなら、「戦争ドキュメンタリー」

「戦争の悲惨」を現代人に伝えるための「作者の手段」

フランクルの「夜と霧」アンネフランクの「アンネの日記」…

これらの作品を読んだ時の気持ちと同じになった。

「生きるために犯した罪を、人は裁けるのか?」

「絶望の中に希望を見出すことは容易なのか?」

「そして、人はなぜ殺し合う必要があるのか?」

このゲームは、この様な質問を私たちに投げかけてくる。

まとめ

「This War of Mine」は、社会学・倫理学・歴史学の観点からボーランドの高校推薦図書に選出されると言う。

しかし私は、この選出について、いささかの驚きも感じない。むしろ当然のことだと思っている。それほどまでに、様々なコトを考えさせられる作品だからだ。

この選出を契機に、日本でももっと同作品のファンが増えて欲しいと思う。そしてこの作品を題材にしたワークショップ等が活発に開かれれば、もっと素敵だと思う。

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