ワールドオブタンクスで学ぶ「孫子の兵法」
敵戦車に、徹甲弾をぶち込んで撃破する…
敵戦車の大群を草むらに隠れて偵察する…
戦車同士の熱い戦いこそが、「ワールドオブタンクス」一番の醍醐味。しかし、戦闘のみに気を奪われてしまうのは危険だ。 実際、WOTは単なる戦車戦アクションゲームではない。その根拠として、戦闘と戦闘の間にインターミッションがある。 戦いの結果入手した、経験値やクレジットをもとに装備を充実させ、新しい戦車の開発を進めていく。要するに、個々の戦闘の結果が、今後の展開に少なからず影響を与える。
それはすなわち、「WOT」は戦車戦という「戦闘」をテーマにした「戦争」のゲームであることを意味する。
戦争の本質とはなにか?
戦争ゲームである以上、まずは「戦争」の本質を理解することが大切だ。あの有名な兵法書「孫子」においても、まずはじめに「戦争とは何か」について述べている。
孫子曰く、兵とは国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからずなり。故に之を経るに五事を以ってし、之を校ぶるに計をもってして、その情を索む。
(意訳)
「孫子」計篇より
戦争とは、国家の一大事である。人々の生死を決める分岐点であり、国家の存亡を分ける道であるから、これを深く洞察しないわけにはいかない。だから五つの事柄でよく検討し、七つ方法で比較分析し、敵の実情を探るのである。
「孫子」十三篇の冒頭を飾るに相応しい一句である。戦争にあたっては、戦う前に用意周到な準備が必要であることを説いている。ワールドオブタンクスも「戦争ゲーム」である以上、同じことが言える。
事前の準備次第で、戦闘の結果や将来の開発計画に大きな差が発生する。もしあなたが、これから「WOT」を始めるのなら、戦場に出撃する前に、最低限、ゲームマニュアルだけはしっかりと読みこんで欲しい。そして、システムとルールを正確に理解してから戦闘に臨んで欲しい。勿論、ただ単にゲームとしてドンパチ楽しみたいだけなら、そこまでする必要はない。簡単なチュートリアルを受け、最低限の操作方法を理解すれば楽しむことができる。「WOT」はその様なプレイヤーも受け入れてくれる懐の深さがある。
勝つためには用意周到な準備を!
しかし、戦争ゲームであることを自覚し、勝利を目的とするのなら、しっかり準備する必要がある。 「勝つこと」に徹底的にこだわった孫子にはこう記されている。
夫れ未だ戦わずして廟算して勝つ者は、算を得ること多ければなり。未だ戦わずして廟三して勝たざる者は、算を得ること少なければなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。しかるを況や算無きおいてをや。
「孫子」計篇より
(意訳)
実際の戦闘を行う前に廟算してみて勝利の確信が得られるのは、勝算が多いから。逆に、戦闘の前に廟算してみて勝利が得られないのは、勝算が少ないからである。事前の図上演習の段階で勝算が多い者は実際の戦闘においても勝利し、勝算が少ない者は勝つことができない。ましてや勝算が無いものは、なおさらである。
「歴戦noobのくせに偉そうな能書きを垂れているではないか」そう思われる諸兄も多いだろう… しかしだからこそ、私は声を大にして言いたい。能天気にドンパチを楽しんでいるだけでは…「決して、勝率は上昇しない…」そう私は身をもって実感している。
私が犯した「失敗」を、読者の皆は繰り返さないで欲しい…